薬の問題

向精神薬(心に対して使う薬)は精神疾患の症状を軽減する薬です。決して精神疾患を治す薬ではありません。病気を治す薬出ないという点で、体の病気に使う薬と本質的に異なっています。薬理学的に、脳神経細胞間の伝達を行う伝達物質に作用をすることは分かってきていますが、脳のどの部分にどのように作用して、どのような仕組みで精神症状を軽減できるのか全く分かっていません。ですから、向精神薬を投与して症状が軽減しても、本当に薬の作用で症状が軽減したのか、他の環境などの要件で症状が軽減したのか、判断できません。

 

薬がうまく合えば、精神疾患の症状を軽減しますから、日常生活が楽になります。大人では薬を飲むことで社会活動に参加できます。その大人に合う薬を使う意味があります。子どもでも薬を飲むことで症状が和らぎ、日常生活が楽になることもあります。親は子どもに薬を飲ますことで、子どもの精神疾患が治るのではないかと考えて、一生懸命子どもに薬を飲ませ続けます。子どもも薬を飲むことで自分の精神疾患が治ると考えて薬を飲み続けようとしますし、自分の辛い症状が精神疾患から出ていると信じ込んでしまいます。しかし子どもの場合は辛い精神症状を出しても薬以外の対応の変化、環境の変化で辛い神経症状をなくせることもあります。

さらに、薬が必要ない症状に対して間違った処方での投薬はよくなるどころか副作用ばかり出てしまい状態はなかなか改善されません。

 

また、思春期以前の脳はまだ発達段階にあります。大人の心の病気に投薬するのと、脳の反応は異なります。大人で薬の機能がわかっていても、子どもに当てはまるとは限りませんし、子どもには大人にない機能があります。その大人にない機能を無視して、大人と同じように子どもに投薬治療を行うと、子どもの脳にどのような問題を生じるのか現在のところ全くわかっていません。